遅い夏休みで2日間の休暇を取り、信州立科へ出発。
中央道で予想外の工事渋滞に巻き込まれ、予定より1時間遅れて白樺湖近くの「ホープ乗馬牧場ロッジ」に到着。ここは、もう15年ほど前からチョクチョクお世話になっているファミリアルな、森の中の小さなお宿というところ。
美パートナーは早速馬場に出て久し振りの乗馬に欣喜雀躍、そのまま馬に乗って林間散歩に出かけてしまった。こちらは、その間に周囲の自然観察散歩を行うこととした。私の大好きな、マムシ草(注:毒草)の真っ赤な実が群生している場所を発見。何故か、満足した薄笑いで顔が歪むのを覚える。
毒草なので決して口にしてはいけません! |
自宅を出発時の気温は25度というのに、ここはベッドに入る頃には8度に気温低下。冬物の厚手のパジャマ持ってきて良かった...。
【9月30日・水曜日】
車山(ナント100名山なのです)・1925mの頂上へ。
寒い、寒いを連発しながらリフトを乗り継いで、駐車場から15分ほどで到着。
車山の頂上に立つと、ア゛ー!ア゛ー!と、濁点つきの絶叫が口から飛び出す。
このままここで時間が止まってしまうとイイと思ってしまう程の絶景が、視界360度の迫力で圧倒してくる。晴れの日を狙ってきただけに、雲どころか霞もない青空が延々と天国まで続いているのではないかと思える素晴らしさ。
まず、八ヶ岳連峰から首を右へ回すと、南アルプス(甲斐駒ヶ岳)~中央アルプス(木曽駒ヶ岳)~北アルプス(穂高、槍)まで、グルーリと360度視界で見渡せる。さらに浅間、白根もそのまた遙か彼方に頂上を覗かせている。もちろん富士山が八ヶ岳連峰の向こうに堂々とそそり立ち偉大さを見せつけてくる。
天球儀儀規模の景色から無理矢理意識を外し、ここから約4時間(食事時間30分含む)の「霧ヶ峰外周トレッキング」に出発。午前10時25分。
サンダル履きの観光客を横目に、約300段?ほどのゴロタ道階段を降りて行く。
第一目標は「蝶々深山・チョウチョウミヤマ、1836m」約35分。
キツイ登りはないが、このコースは大石が階段状にばらまかれたような状態で道が続く。ところで、この外周コースは、小石と岩と粘土質の道路が最初から最後まで続くのでバランスを取るのに結構体力と膝関節力を消耗する。
蝶々深山から見渡すと、果てしない草原のド真ん中で威容を誇る山々に囲まれ、自分が只の点になっていることに気づき何とも言えない幸福感に心がとろけていく。
気を取り直して第二目標、ゴジラのような形をした「物見岩・1792m」約15分。
この間の道は粘土質状の土に足を取られて、ズルッ,ズルッと時折滑ってしまう。雨後のぬかるみの時などには、歩行困難になってしまうのだろうと心配したりする。
「ここから先(鹿)立ち入り禁止」の柵があるけれど、扉は手で開けられます。
残り少なくなった草原の草花に目を細め、植物図鑑で見た珍しい花を思いがけず発見しながら、もう一度入り口にあったような扉を超え湿原を後にする、30分。
相変わらずのゴロタ道を、第四目標、バス停のある「車山の肩・1770m」に向かって、登り始める。車山の肩到着、約40分。
ここからはバスで10分の所に車山駐車場がある。一安心して売店で記念のピンバッジを買い、濃厚な高原牛乳ソフトクリームを堪能。お店からヘラヘラ笑いで出てくると、美パートナーの衝撃的な一言が待っていた。
「バス7分前に行っちゃった」....。
午後便は2本しかないので、次まで2時間待ちとなる。(号泣号泣)
時刻表くらい調べとけよ。(心の声...怖くて言えない)
膝はキシキシ音を立て始めてるし、やる気はここに着いた時点で雲散霧消しちゃったし。2時間もポヤーッと突っ立ってられるほど、気長じゃないし。
で、残る道はただ一つ。泣く泣く車山の山頂へ向かって登るしかないと決定。
標高差こそ155mで、標準時間は45分だが、山腹を大きく迂回して上るルートになっている。おまけに小石、小岩ゴロゴロのスベスベ道。
アーア、アイス食べなきゃ良かった...
などとぼやきながら歩き始める。私達とは反対ルートを辿り、降りて来る登山者と挨拶を交わしながら、それでも車山山頂に無事帰還。
驚いたことに車山の頂上での絶景は、霞一つ無い空の中に出発時と変わらないまま天空に張り付いたように残っている。夕暮れ前、西へ傾いた太陽に朝とは違う薄オレンジ色に変わった山肌が疲れた体を優しく癒してくれる。
今回は「蓼科山」に登る予定だったけど、天候や準備の関係で断念。軽く草原歩きでもしてみようというのがことの始まりだった。そして、この「霧ヶ峰外周トレッキング」は何回でもやってみたいと思うほど素晴らしいものだった。
山に登るばかりでなく、こんな楽しみ方もあると一つ良い勉強をさせて貰ったと感謝。
次回は、美パートナーの趣味「岩登り」に、運転手として狩り出されることになっている。
おにぎりラーメンで、晩秋の山裾を楽しんできたいものです。